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被爆語り部 新世代共演

被爆語り部、新時代共演

朝日新聞 2025年11月4日

広島で被爆し、多くの折り鶴を残して12歳で死去した佐々木禎子さんの親族にあたる小学生と、長崎の被爆証言を伝えている小学生が、都内で原爆をテーマにした紙芝居を英語で上演した。朗読には、日本への原爆投下を承認した米国のトルーマン大統領の孫も参加した。平和活動を通じてつながった日米の今後を担う世代が連携して、被爆の記憶を伝える重要性を訴えた。

 「街は一瞬にして消え、家も学校も病院もなくなりました」

 「あの時、死んでしまった人も、生き残った人も、その悲しみは何十年経っても消えていません」

 11日午前、新宿区内の貸しスペース。関東などから約20人が集まった。紙芝居を読んだ被爆3世の佐々木和音さん(10)=東京都=は広島市の平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデルになった佐々木禎子さんの兄の孫にあたる。長崎原爆の「語り部」として活動している細井奏志さん(11)=同=、オンラインで参加したトルーマンの孫のクリフトン・トルーマン・ダニエルさん(68)との3人で順番に紙芝居を読んだ。

 共演を呼びかけたのは、大阪で地域新聞を発行している吉村大作さん(45)。2022年、ウクライナからの避難民と一緒に、広島で8歳のとき被爆した小倉桂子さん(88)の講演を聞いた。「世界で語り伝えていくべきだ」と感じ、長崎の被爆者から聞いた話も取り入れながら紙芝居を制作した。

100言語以上に訳され、世界に発信

 紙芝居は世界の100言語以上に翻訳され、ホームページ上で無料ダウンロードできる。世界に向けて発信するため、紙芝居の上演の様子をSNSで共有することも呼びかけてきた。米国の原爆投下や核抑止論を念頭に、「被爆体験の紙芝居を読むことに立場は関係ないという事例をつくりたい」と、被爆地との交流をしてきたクリフトンさんに紙芝居の朗読を依頼。クリフトンさんらのつながりから、佐々木さんと細井さんも加わった。

 この日の朗読後、クリフトンさんは、原爆を投下した国と被爆国との関わりなどについて「被爆者に会ってきた私たち次世代が一緒に(こうした活動を)続けていかなければならないし、重要なことだ」と話した。佐々木さんは「戦争時代の生きるための難しさを知った」、細井さんは「同世代やトルーマンさんと読めて貴重な体験ができた。語り部活動に生かしていきたい」と語った。

 紙芝居はすでに海外の9カ国で朗読されているという。吉村さんは「継承方法の多様性を模索していく重要さを感じた。紙芝居を世界中の人々に伝えるためにこれからも活動したい」と決意を語った。

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